銀色のアルミホイルで覆われたこの工場には「スーパースター」達がこぞって
集いました。元々名のあるスターだった面々もあれば、巨匠が「スーパースター」
と呼んだことにより、真のスターになった面々もありました。
その他にも、ゲイ、ジャンキー、性倒錯者、ありとあらゆる異端児が自由に
出入りしていたようです。
そんなファクトリーとドラッグとは切っても切れない仲にありましたが、
狂宴とも言えるパーティーの主催者は、どこまで行っても傍観者。
ドラッグには一切手を出さず、冷静な目で観察するのみ。
例え美しい少年が 踊りながら飛び降り自殺をしようとも、全く動じません。
ただ「フィルムに残したかったのに。」と悔しがるだけです。
全てを受け入れるその姿勢は、ファクトリーに活力を与えましたが、
それと同時に破滅をも呼び込みました。
徐々に歯車を狂わせつつあったパーティー会場は、
ヴァレリー・ソラナスという女性の一撃により終焉を迎えます。
レズビアンであり、[全男性抹殺団]の主催者でもあった彼女は(加入は本人のみ)
その行動や言動から、既にファクトリーへの出入りを禁止されていました。
しかし1968年。
彼女は妄想と錯乱の中、拳銃を片手にファクトリーへ飛び込み、巨匠に向けて発砲。
その足で「ウォーホルを撃ったわ!」と警察に飛び込み、逮捕されます。
五時間に及ぶ大手術で一命を取り留め、2ヵ月後には復活した巨匠でしたが、
ファクトリーは以前の面影をなくしました。移転先の新ファクトリーでは
人の出入りが制限され、ファクトリーの象徴だった壁一面の銀紙も剥がされます。
ファクトリーの終焉は、“60年代”という、一つの時代の終焉でもありました。
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I SHOT ANDY WARHOL ヴァレリー・ソラナスに焦点を当てた同名映画の オリジナルシナリオから見る60年代ポップカルチャーブック |