偉人に学ぶ─ダメ人間の美学
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アルチュール・ランボー(1854〜1891)
┗フランス東北部、ベルギー国境近くの生まれ。
 本名、ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
 早熟の天才詩人・反逆の詩人として名をはせる。
 「酔いどれ船」「地獄の季節」等が有名。

天才詩人は一生を通じて 傍若無人の問題児でもありました。
15歳で詩を書き出してからは ことあるごとにパリを目指しています。

目指すのは勝手ですがそこは子供の浅はかさ。
ある時は警官につかまり、ある時は母に泣かれ、またある時は教師に諭され
・・といった具合に家を出ては戻され、そしてまた出るの繰り返し。
結局、念願かなってパリに住めるようになったのは17歳になってから。
すでに名のある詩人であった10歳年上の“ヴェルレーヌ”に才能を見出され
彼と妻の家に住み込んだのですが・・、そうこうするうちに同性愛生活へ突入。

妻を捨てても惜しくないほど 若く美しい巨匠に首ったけだった
ヴェルレーヌとともに、二人は放浪の旅へ出ます。喧嘩をしては愛し合い、
愛し合っては喧嘩するという波乱万丈、まさに愛と激情の日々。
しかしこんな生活が長く続くはずがありません。
嫉妬か束縛か・・泥酔したヴェルレーヌが発砲したことによりこの愛憎劇も
終焉を迎えました。弾丸は左手首に命中し、巨匠は病院、ヴェルレーヌは
監獄へと別々の地へ。

この事件以後、19歳にして筆を折った巨匠はロンドン・スコットランド・
ドイツと放浪しながら教師になったり軍人になったり、はたまた脱走したりと
これまた波乱万丈の日々を送った後、エジプトやスイスまで放浪の場所を広げ
最終的にはアフリカで武器商人になっていたようですね。

そして1891年。37歳。
膝に激痛をかかえ歩行困難に陥った巨匠は右足切断を余儀なくされます。
切断後の静養も甲斐なく病状は悪化。一年足らずのうちにフランスの病院で
最期をむかえました。死因は骨肉腫から全身に転移した癌。

芸術を憂える芸術家はたくさんいます。
しかしこの巨匠ほど潔く己の道を転換した芸術家はいないでしょう。
15歳から19歳。たったの4年で芸術に見切りをつけたのです。

まさに“反逆の詩人”そのものの人生でした。

2002.12.25 「まぐまぐ」より発行


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ディカプリオがランボー役を熱演。美しい映画作品「太陽と・・」
断筆後にも焦点をあてた伝記映画作品「地獄の・・」どちらもおすすめ



■今日の余談─私の周りのダメ人間たち
└幼き日の私も早熟の天才であったらしい。
 もっとも天才と認定したのは、私の母ただ一人なので真相は不明だ。

 世の母親は皆そうなのかもしれない。
 クレヨン片手に落書きをすれば「ピカソばりの芸術センスよ!」と驚嘆し
 TVを前にアニメソングを歌えば「美空ひばりの再来かしら!」と感涙に
 むせぶ。はたまた眠ったといっては喜び、転んだといってはまた喜ぶ。

 だがそんな母もいつかは我が子が凡人であることに気づかねばならない。
 幸いにも、私のものごころがつく前には夢から覚めていたので
 母の舞い上がりッぷり、親バカぶりは話に聞くだけで見たわけではない。
 見たわけではないが まるで目の前の出来事であったかのごとく
 たやすく想像できる。

 ここ最近、実家に帰るたびに新しい芸を披露してくれる我が家の“犬”。
 この犬がいかに類まれなる天才犬であるか。いかにそのアクビが芸術的で
 あるか云々・・。嬉々として語る母を見れば一目瞭然である。
 


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原文は同じでも訳者の操る日本語によって、それぞれの味が出ます。
お気に入りの一冊を探すのもまた楽し。


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