偉人に学ぶ─ダメ人間の美学TOP
前の巨匠へ    次の巨匠へ
アルフレッド・ヒッチコック(1899〜1980)
┗イギリス、ロンドン生まれ。本名、アルフレッド・ジョセフ・ヒッチコック。
 サスペンスの神様と謳われる映画監督。実験的かつ斬新なカメラワークで
 様々な演出方法を生み出し、後年の映画界に多大な影響を及ぼした。
 「レベッカ」「サイコ」「めまい」「鳥」等、有名作品多数。

ある日、いたずらばかりする幼き巨匠に手を焼いた父親は、一晩ほど
留置場で息子を預かってもらえるよう、知り合いの警察署長に頼みました。

実際には一晩どころか5分程度のわずかな時間だったようですが、この留置場の
体験は、もともと臆病だった巨匠を震え上がらせるのには充分すぎるほど充分な
効力を発揮し、後にサスペンスの源となったようです。
同時に生涯に渡っての警察嫌いにもなってしまったようですが・・。

警察は嫌いになれど、いたずらは嫌いになりませんでした。
映画会社の字幕デザインを担当後、トントン拍子でサスペンスの神としての
地位を確立した巨匠。少年には少年のいたずらが、神には神のいたずらが
あるってもんです。

売れっ子女優を冒頭で殺してしまうという贅沢な台本で、売れっこ=出番が長い。
という観客の常識を気持ちよく裏切ったのも、いたずら心でしょう。
また、鳥や卵をとことん憎んでいた巨匠はスクリーン上でその恨みをはらします。
無数の鳥を悪役に仕立て上げ、恐怖を与えた「鳥」はあまりにも有名ですが、
“卵”のほうは、ちまちまジワジワ。目玉焼きに吸殻を突き立てるシーンを
作ったり、俳優たちがハムエッグを嫌がるシーンを作ったりしています。

巨匠自身がエキストラとして各作品に必ずチラリと出演するのも、
とっておきのいたずらでしょう。けれども観客が巨匠探しに夢中になって
しまわないよう、必ず早い段階で登場するように配慮していたようです。

これらスクリーン上のエピソードは、微笑ましいものばかり。
けれども私生活では洒落にならないような いたずらもありました。

ある日のこと、巨匠は小道具係りに一つの提案を持ちかけます。
それは1週間分のギャラと引き換えに、撮影所で撮影用カメラに手錠で
つながれたまま、一晩過ごしてみないか。というもの。
一晩で一週間分のギャラなら乗らない手はありません。
喜び勇む小道具係りに手錠をかけると、巨匠は親切にもブランデーを
勧めました。「ぐっすり眠れた方がいいだろうから。」
その晩、小道具係はぐっすり眠れたでしょうか。眠れるはずがありません。
巨匠が勧めたブランデーには強力な下剤が混入してあったのです。
あくる日の朝どうなっていたかといえば・・・ご想像の通りです。

その他、全く関係のない女性にわざとプレゼントやラブレターを贈って、
彼女の人生を台無しにさせてみたりと、サディスティック丸出しのいたずらを
しては喜んでいた巨匠も、家族に対しては非常に優しかったそうです。

公私共に、いたずら人生をまっとうした巨匠80歳。
ロサンゼルスの自宅で腎不全のため、この世を去りました。

2003.03.26 「まぐまぐ」より発行

懐┃か┃し┃の┃あ┃の┃番┃組┃!┃ 
━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛
── amazon.co.jp
ヒッチコック劇場 第一集(DVD)
ヒッチコック劇場 第ニ集(DVD)
再放送を繰り返し、当時のお茶の間の人気をさらったTVシリーズが
ついにDVDで登場。各6作品収録だからお得感もGOOD。



■今日の余談─私の周りのダメ人間たち
└TVを見る機会が非常に、または異常に乏しい私。

 会話の途中、「え!?なんで知らないの?」と、友人・知人を驚かせてしまう事も
 しばしば。せめて他人をギョッとさせない程度にはTVと親しみたい。
 と、気をつけてはいるのだが、ちょっと気を抜けばすぐ、3ヶ月に1時間
 見るか見ないか。というレベルに陥ってしまう。

 TVは有害だから見ないとか、くだらないとか、そんな思想があってのこと
 ではない。だいたい、見ないんだから思想も生まれようがない。
 どちらかと言えば、世間の流れを知るのにTV鑑賞は必須だろう考えている。
 のだが・・・、習慣というのは恐ろしいもので、一度見ないクセがつくと
 もう見方がサッパリ分からなくなってしまうのである。
 一人でTVの電源を入れたところで、そのテンションの高さにひるんでしまい
 どうしても流行とは関係なさそうな静かなチャンネルへと流れてしまう。

 私に必要なのはTV好きの友人。この番組はコレコレでアレアレ。と
 楽しく解説しながら一緒に見てくれる友人が必要なのだ。

 幸い、私には同居人Yがいる。
 Yが解説者の役割を果たしてくれれば問題解決なのだが・・。
 困った事に、Yも私同様「誰か一緒に見る人がいれば見る」という他人任せ
 スタイルなので、相手が見なければ自分も見ない。結果、誰も見ない。

 TVに対して意思表示のない二人。こんな二人がTVの前に並んだところで
 さぁ、何を見ればよいのか分からない。あてもなくチャンネルを変え、
 行きつく先はいつも放送大学・・・。
 静かな画面をジッと眺め、そしてますます世間に置いていかれるのであった。

裏┃話┃を┃読┃む┃  
━┛━┛━┛━┛━┛
── amazon.co.jp
定本 映画術―ヒッチコック・トリュフォー(単行本)
「ヌーベルヴァーグの旗手」トリュフォーと「サスペンスの神」ヒッチコック
映画の二大巨匠がとことん語り合う“映画術”

前の巨匠へ    次の巨匠へ

偉人に学ぶ─ダメ人間の美学
いくーこ.com
Copyright(C)2002〜
iku~ko,
All rights reserved.