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ジークムント・フロイト(1856〜1939)
┗チェコ生まれ。ドイツ、ウィーン育ち。
 精神分析学の創始者。神経生理学者、神経病理学者。
 「夢判断」「精神分析入門」など、著作物多数。

ユダヤ人の両親を持つ巨匠。母親が後妻だったこともあって、
家庭環境は複雑でしたが、この上ない愛情を注がれて育ちました。

自由な思想を持っていた父親の影響か、6歳になっても学校へは行かず、
のんびりした毎日を過ごしています。しかし知的好奇心は旺盛。
新聞の切り抜きから文字を覚え、父の帳簿を覗き込んでは計算を覚え、
10歳の時には中等部への入学を許可されます。どの学科も1位と
秀才ぶりを発揮しました。

巨匠を溺愛していた母親は、落ち着いて勉強ができるようにと、
他の兄弟を差し置いてまで、巨匠に広い個室を与えました。
その甲斐あってか、首席を維持したままウィーン大学も卒業。
研究者として研究を重ねます。・・・が、断念。
なぜなら、一目ぼれした女性を猛烈アタックで振り向かせる事に成功した
巨匠は、とにもかくにも結婚したかったのです。けれども金にならない
研究者が相手では彼女の両親が許してくれません。
じゃぁ、稼げる道を探さねば。と、臨床医への道を決断します。
この決断をゆるぎないものにしようと、それまでの日記は全て燃やして
しまいました。

神経科に勤務しながら資格を習得し、わずか4年で開業。
開業を機にめでたく結婚の運びとなりました。開業当時の治療法は主に、
電気ショックと催眠術。電気ショックは効果なし。催眠術はかかる人と
かからない人がおり万人向けの治療法とは言えません。疑問を持ったままの
見切り発車でしたが、経験を重ねるうちに「自由連想」(思いついたことを
なんでも患者に話させることで神経症に至った原因を探るというもの)と
いう独自の治療法をあみ出し研究を重ねます。研究論文の執筆も精力的に
こなしました。患者も増えて大繁盛。

しかし第一次世界大戦が始まると、瞬く間に貧困が訪れ、終結してからも
なかなか盛り返すことができません。悪い事は続くもので自らの体も癌に
侵されてしまいます。発覚したのはは63歳の時。
口蓋の摘出を含め、その後通算で33回も手術を受けることになりますが、
大の葉巻ファンだった巨匠は「煙草を止めるくらいなら死んだ方がましだ」
と言って、生涯に渡って葉巻を手放しませんでした。

そうこうするうちユダヤ迫害が更に強まります。ナチスによって巨匠の
著作は禁書とされ、論文は焼かれました。人々は亡命を勧めましたが、
ここでも頑固ぶりを発揮。「なにがあってもウィーンに骨を埋める」
つもりでいたのです。
しかし最終的には一家揃ってイギリスへ亡命を果たします。
それから1年。癌の延命治療を拒んだ巨匠は83歳で最期を迎えました。

「ウィーンは牢獄だった。でも私はその牢獄を愛していた」

2003.04.23 「まぐまぐ」より発行

天┃才┃VS┃天┃才┃  
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ヒトはなぜ戦争をするのか?
アインシュタインとフロイトの往復書簡


「人類にとって最も大事だと思われるテーマについて、あなたが最も
意見を交換したいと思う人と書簡を交わして下さい」との依頼を受けた
アインシュタイン。世紀の天才二人は いったい何を語ったのか。



■今日の余談─私の周りのダメ人間たち

└東京の中心をくるくると回る山手線。ここには様々な人間模様がある。

 ちなみに1周の所要時間は約一時間。
 「次の予定まで数時間ある。非常に眠い。余計な事はしたくない。」と
 いうような時、山手線は動く仮眠室(席)と化す。これがどっこい
 なかなかの寝心地なので「日中は何の予定もありません。家もありません。
 世間的にはホームレスと命名されているようです」という人達にも人気のようだ。

 一人会話の達人もよく見かける。怒った口調で演説をするのが流行りの
 ようだが、時には朗らかに笑う姿も見かける。笑いの源はもちろん不明。
 更に達人になると、喜怒哀楽を一人でこなしたりする。

 時々、「次は○○〜、▽△線にお乗換えのお客様は・・」という
 アナウンスが二度流れることがある。おや?と思って次の駅でも注意
 していると、一度目のアナウンスはすぐ近くに立っているそっくりさん、
 二度目のアナウンスが本物の放送であることが分かる。
 車内アナウンスを一言一句言い違えることなくこなす達人がいるのだ。
 その多くは小学生男子だが、時には成人男子のこともある。今のところ
 女性は見かけたことがない。

 ある日の昼下がり、ガラガラの車両にゆったりと座っていると、
 一人の男性が嬉しそうに飛び跳ねながら通り過ぎていった。
 またしばらくすると今度は逆から通り過ぎる。
 ははぁ〜ん。前から後ろ、後ろから前へのステップ移動だな。
 と思って見ていると、彼方からやって来た彼は、
 タターン タターン ピタッ。と、ふいに私の目の前で止った。
 そして私の顔を覗き込んだ。
 「ねぇ。僕のこと、好き?」

 突然の質問にマゴマゴしつつ、
 『え・・好・・いゃ・・え?会ったばかりで分か・・分からないです。』
 と答えると、彼は「そっかぁ」と一瞬しょんぼりした後、また軽やかに
 タターン タターンと去っていった。


お┃勉┃強┃も┃い┃い┃か┃も┃  
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精神分析入門 []

改訳されることで、読みやすく生まれ変わった精神分析入門。

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