グニャ〜とした背景に、これまたグニャ〜としながら耳をふさぐ人物・・・。
かの有名な絵画「叫び」を思い浮かべていただけたでしょうか。
自分の中から湧き出る叫び声を恐れて耳をふさぐ・・・。という様を描いた
この画。友人と連れ立って歩く途中の実体験が元になっているそうです。
精神を患った芸術家とその作品。というかんじで取り上げられる事の多い巨匠。
そもそもなんでおかしくなっちゃったんでしょうか。
家族の死。これも大きな原因だったでしょう。当時流行っていた結核により、
5歳で母を、14歳で姉を亡くしています。巨匠本人も病弱で、かなり内向的
だったそうです。・・・が、そんな自分を愛する節があったのも否めません。
「病魔と狂気を死が私のゆりかごを見守っていた。」
「私は病気を遠ざけたくはない。私の芸術が病気に負うところは大きい。」
と、後年になって語っております。
そして恋愛面はどうだったかと言えば、これまたあまりいいことも
なかった様子。初めての恋は人妻でしたが、夫のある身で奔放な恋愛を
楽しむ彼女に思う存分振り回されてしまった巨匠は、嫉妬や猜疑心に
悩まされ女性不信に陥ります。
その後、35歳の時に出会った女性と4年ほど交際を続けましたが、
結婚や家庭には興味を見出せません。巨匠との結婚を願う彼女とは
平行線の争いが続きます。そしてとうとう別れ話を持ちかけたその時、
錯乱した彼女が発砲。銃弾は巨匠の左手の薬指を吹き飛ばしました。
この事件をきっかけに、強い強迫観念から逃れられなくなってしまった
巨匠は神経衰弱症で入院もしています。しかし、退院後は目立った衰弱も
見られず、精力的な活動を続けます。
酒びたりではありましたが、81年間の人生をまっとう。
もちろん生涯独身を通しましたとさ
2003.04.30 「まぐまぐ」より発行
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ムンクへの旅 とんぼの本 「僕の芸術は自己告白だった」。その人生は本当に狂気に包まれていたのか。 |