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チャーリー・パーカー(1920〜1955)
┗アメリカ・カンザス州生まれ。
 本名、チャールズ・クリストファー・パーカー・ジュニア。
 アルトサックス奏者。自由奔放なスタイルのジャズ、ビバップの創始者。
 「ココ」「ドナ・リー」「オーニソロジー」「ラヴァー・マン」などが有名。

音楽人生のきっかけは、13歳。
母親から中古のサックスをもらってからというもの、毎晩のように繁華街に 出向いては演奏に耳をかたむけ、セッションに参加。
15歳で学校を中退後、プロ活動を始めます。

しかし最初っから天才だったわけではありません。
そのあまりの下手クソさに腹を立てたドラマーは、本番中にも関わらず
若き日の巨匠にシンバルを投げつけたと言います。しかもわざわざ外して・・

これで反省したのかどうかは分かりませんが、猛特訓を敢行した結果
わずか2年足らずという短期間で周囲も驚くほどに腕を上げました。
しかし演奏に問題がなくなったと思ったら今度は別の問題が浮上。
せっかく入った楽団は3ヶ月でクビ。その理由は遅刻の積み重ねと
麻薬の常習がバレたためでした。

この悪習には反省の余地もなかったらしく、その後も暴走。
タクシー代を払わず運転手と喧嘩して牢屋に入れられたり、
世話してくれた人の楽器を売っ払って失踪したり・・・。

その後 超人的に速いビートと驚異的なテクニックを用いてジャズの
歴史を引っくり返してからも、爆走の速度がゆるむ事はありませんでした。
遅刻やすっぽかしは当たり前。借りた金など返すはずもなく、商売道具の
楽器もほいほい質屋に入れる始末。

その貧乏っぷりはアルバムジャケットにも表れています。
あるアルバムではなぜか演奏者の名前が「チャーリー・チャン」と偽名に
なっているのですが、これも印税を借金取りに持っていかれないように
するための苦肉の策だったそうな。
またあるアルバムではサックスの色がなんか変。白くてちゃちいサックスは
プラスチック製。言うまでもなく、質屋に入ったサックスの代わりに
購入したと見られる安物・・・。
ミュージシャンにとっての楽器とは 命の次に大事なもの。という認識は
凡人の勘違いだという証明ですね。

あの貧乏もこの貧乏も全ては麻薬のため。

壮絶なビートで人生を駆け抜けた巨匠。
我まま放題、好き放題。麻薬と酒で奇行を繰り返し、最後には妻にも
見捨てられ、住むところすらなくしてしまう有様でしたが、それでも
何故か女性やミュージシャン仲間には好かれていたそうです。
人を惹きつけてやまない不思議な魅力があったのでしょう。

そんなある日、TVを見ていた巨匠は笑い転げた拍子に
激しく咳き込み、そのまま息を引き取りました。享年34歳。
ボロボロの体を見た医師は、推定年齢65歳と書類に記入したそうです。

2003.05.14 「まぐまぐ」より発行

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JAZZとはなんぞや?ビバップとはなんぞや?という人にもお勧め。
絶頂期の名演が詰まってます。



■今日の余談─私の周りのダメ人間たち

└友人に誘われるまま、テナーサックスの大御所ソニー・ロリンズを
 聴きに行った事がある。チャーリー・パーカーを生涯の師とあがめ
 セッションの経験もあれば、師に続けとばかりに麻薬に手を出して
 パクられた経験もありの人物である。

 ・・・が、そんないきさつも後年知った事であり、
 当時の予備知識はゼロ。実はもともとの興味も薄かった。
 しかもその日に限っての事だったのかもしれないが、初めて目にする
 大御所ロリンズはちょっと疲れているようにも見えて、大きな会場に
 たたずむ小さな普通のおじいちゃんという印象だった。
 開演10分で少しガッカリしてしまった私。

 だがそれでも周囲を固める何千人という往年ファンの熱気はすごい。
 「私たちはあなたが大好きです!あなたを目の前にしてとても幸せです!」
 という密度の濃い空気がムンムンじわじわと会場を埋め尽くしていく。

 そんな静かな熱気に押され、気がつけば私もムンムンフンフンしていた。
 「どうして普通のおじいちゃんになんかに見えたんだろう!バカ!バカ!」
 と、己を罵倒しながらのスタンディングオベーション。
 そしてアンコール。すっかり感化された私も一心不乱で拍手を送る。

 割れんばかりの拍手の中、再び現れたソニー・ロリンズ。
 ステージの端にその姿を確認した途端、卒倒しそうな勢いの観客達。
 「最後の演奏だ!ぅおおおお〜!」という熱気の中、偉大な奏者は
 照れ笑いをしながらちょちょいと手を振って引っ込んでしまった。

 会場内の誰もが思った。「え。マジで?」

 偉大なるおじいちゃん、やっぱりその日はお疲れだったようである。


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クリント・イーストウッド監督・制作。
巨匠チャーリー・パーカーの生涯を忠実に描いた作品。
演奏シーンはサックス部分のみ本人のものを抜き出しているそうです。

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