高校教師兼、詩人の父と、精神病を患っている母。
母親は度々大きな発作を起こすため日常生活もままならないほどでしたが、
その存在は巨匠にとっての創作意欲の源にもなっていたようです。
ぬるいアメリカを批判し、ベトナム戦争に反対し、同性愛者迫害に反発し、
全ての偏見を皮肉り続けた巨匠。暴力的、攻撃的とも言える文体で、
それまでの品行方正なアメリカの文化を引っくり返した男・・・。
しかし、詩人は生まれた時から詩人であったわけではありません。
少なくともコロンビア大学に入学した時点では、父親の希望どおりに弁護士、
または大学教授になるつもりでいました。
しかし出会ってしまったのです。悪友たちと・・・。
後にビートニクを代表することになる彼らのおかげですっかり開眼した巨匠は
大学の寄宿寮の壁に過激な言葉を書きなぐって放校処分を受けたりしています。
結局は復学し後に大学院にも通っているのですが、それも3週間ぽっちのこと。
3週間も通えばもう十分分かった。とのことです。
大学時代から書き溜めていた詩作を公表しようと思ったきっかけは母の狂死と
精神科医の一言「自分自身になりなさい」でした。
自分になる=詩人になる。だと悟った巨匠は、ポエトリーリーディング
(詩の朗読会)で、「吠える」を発表。大変な反響を得て一躍時の人となり
アメリカやヨーロッパ各地を朗読して回ります。それが一段落すると今度は
南アフリカやインドを放浪。魂を求めて、というのは建前で、麻薬を求めて
というのが正解のようです。
そして時は過ぎ、時代はビートゼネレーションからヒッピーへ。
時代が移ってなおカリスマの地位を保ちつづけた巨匠。朗読会を行えば満員御礼。
私生活もかなり楽しんでいる様子で、30年来の恋人(男性)はいたものの
若い少年とのお楽しみも欠かさない毎日。結構いいお年になっても、色恋は盛ん
だったようで、晩年にもお熱〜いかんじの詩作を残しています。
数少ない“詩作で食える詩人”であった巨匠。年老いてなおビート詩人として
晩年を過ごした巨匠は70歳の時、ガンの悪化からこの世を去りました。
「66歳になってはじめて覚えた。自分の体を管理するということ。(中略)
洗面台の横に一人座り、髪をとかす前の一瞬。まだ死体にはなっていないな
と喜ぶ」
2003.06.18 「まぐまぐ」より発行
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