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岡本 太郎(1911〜1996)
┗東京生まれ。前衛芸術家。
 強烈な個性を発し、画家・彫刻家・写真家・文化人類学者・
 デザイナーなど多方面に活躍した。
 「太陽の塔」、「傷ましき腕」など有名作多数。

「芸術は爆発だぁ〜!」
CMをきっかけに当時の流行語にもなったこの言葉のおかげで、
どうも繊細な芸術家というより、奇天烈なおやじというイメージの方が
先行してしまいがちですが・・・、まぁ大方それで間違いないようです。

父は漫画家。母は小説家。芸術家の両親はやはり芸術家でありました。
両親ともに奇天烈家系。そこに生まれた巨匠は芸術家のサラブレッドであり、
奇天烈のサラブレッドでもあるというわけです。

家族構成も摩訶不思議。一つ屋根の下には父・母・息子である巨匠に
加えて母の愛人が1名〜2名・・・。父にしてみれば、家の中に
間男がウロウロというのは精神衛生上よろしくなかったようで、
心の平静を保つべく仏教の研究に明け暮れ、そして仕事に没頭しました。
感化された母も仏教に開眼。徐々に著書を増やし仏教研究家として名を馳せます。

稼いだ金は全て妻の勉学資金につぎ込むという盲信ップリを見せ始める父。
その意を無駄にすることなく、小説書きに没頭する母・・。
ヨチヨチと歩き回る幼い巨匠を柱にしばりつけてまで書き続けるような
こともありました。

妻かの子を「かの子観音」と崇める父の感化を受けたのか、
はたまた幼いながらも母の奔放さに感銘を受けたのか・・・。
グレることも両親を恨む事もなく、すくすくと我が道を育っていた
巨匠はある日風邪をひき、自分の部屋で数日間 寝込んでしまいます。
病に伏せている間、一度たりとも顔を見せなかった母親。
なぜ見舞ってくれないのだと責めたところで、ケロッと一言。

「だって病気している太郎なんて汚いからイヤだもの」

どうでしょう。この言葉・・。しかも普通の子供ならグレたく
なるようなこの言葉を「ごまかしのない言葉」だと喜んでしまう
幼き巨匠・・。すっかり奇天烈一家の一員ですね。

一家でパリに渡ったのも母の取材旅行を機としています。
両親が帰国した後も一人異国に残り、画の勉強に従事。
その十年の間には様々な事がありました。
母の死、そして芸術家としての賞賛と批判。

“下手クソ”“色オンチ”・・非難されればされるほど喜び、
「グラスの底に顔があってもいいじゃないか」
「芸術はきれいであってはならない。うまくあってはならない
 ここちよくあってはならない」と断言しました。

あまりにも母の印象が強烈であったためかどうかは分かりませんが
85歳、心臓発作でこの世を去るその時まで独身をつらぬきました。

「ともかく、岡本かの子ほどなまなましく女であり、
 しかも神秘的な女性を私は知らない」

2003.07.16 「まぐまぐ」より発行

ド┃ー┃ン┃!┃
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芸術は爆発だ!―岡本太郎痛快語録(文庫)
かの有名な「芸術は爆発だ〜!」は、ドーンガラガラの爆発ではなく
もっとこう・・繊細なニュアンスのようです。宇宙に舞い散る芸術?



■今日の余談─私の周りのダメ人間たち

└とある立ち呑み屋に立ち寄った時のこと。
 その店では皆焼き鳥を勝手に食し、後で串の本数を数えて会計する。
 飲み物やその他のつまみは自己申告制という粋な店だ。

 その昔ながらの一杯呑み屋へと連れ立った友は、かねてから
 かわいらしい顔立ちと愛嬌の良さで“おやじキラー”の異名を
 欲しいがままにしてきたMTである。

 路上にたたずみ焼酎片手に焼き鳥を食らう面々の中に混じって
 我々がまごまごしていると、すかさず
「ホラ、これ食いな。グラスはココ置きな」と、
 朗らかなおやじの声がかかる。これもMT効果であろう。

 おやじキラーMTに便乗し、立ち飲みといえども楽な位置を
 キープした我々はほろ酔いのおやじに相槌を打ちつつ呑んで食った。
 上機嫌になったおやじは、焼き鳥をおごると言い出し、
 自ら焼き鳥を取り行き、我々に与え、さらに食べ終わった串は
 俺が払うから渡せという。

 「そんな〜。悪いからいいですよ〜」終始笑顔のMT。
 『まぁまぁ、そんな高いもんでもあるまいし』これまた笑顔のおやじ。
 「え〜。じゃぁコレも〜」ウフッと笑いながら、今まで我々が食べた分の串を
 握ったかと思うと、目にも止まらぬ速さでおやじの皿へスチャッと放り込んだ。
 しかも「ウフッ」の中でその全てが行われるという早業である。

 さすがのおやじも怒るのではないかとヒヤヒヤしながら見ていたが、
 しばし目を丸くした後、『ぅわはは、コリャ参った』と、更に上機嫌に…。
 その後のおやじといえば、常に我々の動向に目を光らせ、グラスが空けば店員を呼び、
 焼きたての頃合いを見計らっては焼き鳥を取りに行き、そして自ら率先して
 串回収係に徹していた。

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芸術と青春(文庫)
「青春は無限に明るく、また無限に暗い。」
 特異な家族の関係。そして、息子岡本太郎の女性観などに迫る

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