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グレタ・ガルボ(1905〜1990)
┗スウェーデン生まれ。本名、グレタ・ロヴィッサ・グスタフソン
 女優。冷酷なまでにエキセントリックな美貌は日本での人気も高く
 “神聖ガルボ帝国”と謳われた。
 「グランド・ホテル」「ニノチカ」「アンナ・カレニナ」などが有名。

日雇い労働者であった父が死亡してしまうと、急きょ学校を辞めて働きに
出なくてはならないほどの貧乏ぶり。理髪店の髭剃りとして働き、一日中
客のワイ談の相手をするはめになったのは14歳の時のことです。
やがて大手デパートの売り子に転職しますが、そこで華やかな容姿を買われ、
PRフィルムに出演することとなります。後はもうトントン拍子。

あれよあれよの間に映画の主役に抜擢されるまでになりましたが、
演技力はちょっと・・・。しかしそこは監督が放っておきません。
文字通り、手取り足取りの演技指導の結果、映画は大成功。

ハリウッドに呼ばれた監督は、自らとともに巨匠の契約も望みましたが
受け入れ側の制作部長の目には、足の太い、瞳のにごった女優を雇い
入れるのにいい顔はしません。それでも渋々ながら契約を交わすと、
当時最高の技術を駆使し、洗練された美を巨匠に与えたのです。

その結果、カメラの前に現れたのは今までにない神秘的な美貌を持つ女性。
“ガルボ伝説”の誕生とともに大スターの道を駆け上がります。

そして時代は無声映画からトーキーへ。
トーキー第一弾のキャッチコピーは“ガルボ喋る”。
しかし絶世の美女がひどいスウェーデン訛りでしゃがれ声だと知ったら、
客は引いてしまうのではないか・・・。との懸念をよそに、訛りも
ハスキーボイスもエキゾチックな魅力として受け止められ
更に人気を博す結果となったのです。

“ガルボ喋る”の後は“ガルボ笑う”
喋っても笑ってもいちいちキャッチコピーがついてしまうほどのクールで
謎めいたイメージ。笑顔を見せなかったのはイメージ戦略かはたまた
演技力の欠落か・・・。

イメージチェンジの目論見もあり、スクリーンで笑顔を見せ、コミカルな
作品にも出演したものの結局は失敗に終わります。自分の時代は終わったと
感じた巨匠は36歳の若さで潔く引退。

謎めいたイメージを永遠のものとして自ら封印した後は、マンハッタンで
優雅な一人暮らしを満喫。マスコミに顔を出すことも一切なく、84歳で
死を迎えるまで一人静かに暮らしましたとさ。

2003.08.20 「まぐまぐ」より発行

あ┃の┃名┃作┃
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カサブランカ 特別版(DVD)
「複数の大スターを起用した群像劇=グランド・ホテル形式」という
言葉を生み出した名作。五人の宿泊客を軸に展開する人間ドラマです。



■今日の余談─私の周りのダメ人間たち

└社内から郵便物を出す場合、気になるのは切手の料金だ。
 万が一、料金不足で先方に届くようなことがあろうものなら、
 とんだ恥さらしになってしまう。かと言って、常に多め多めの
 切手を貼り付けるのももったいない。

 プレッシャーに耐えきれなくなった郵便物作成者は、そっと隣の者に問う。
 「ねぇ・・、これ、100gあると思う?」

 問われた者は丁重に郵便物をゆすりながら、神妙な面持ちで首をかしげる。
 「ぅ〜ん・・この間○○社から届いたやつが140円だったから・・」
 と、今度は両手に封筒をゆさゆさしながら耳をすます。
 当然ながら、中身の音を聞いたところで答えが出ようはずもない。

 そうこうしていると、またその隣の者がしゃしゃり出て、
 「どれどれ?豚肉100gがあんなもんだから・・・」
 と、右手には架空の肉、左手には郵便物をのせ、またもやゆさゆさと
 重さ比べを始める。

 それを見ていたまたその隣の者が・・・という具合に社内中を
 めぐった郵便物は最終的に「多めに貼っときゃ問題なかろう」の
 判断を受けベタベタと切手を貼り付けられた後、ポストに投函される。

 郵便物用の計りを買えばいいのだ。そんなことは皆分かっている。
 だがなぜか必ず毎回毎回、郵便物はゆさゆさと揺すられながら
 社内を一周する運命と決まっている。


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