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フランク・ザッパ(1940〜1995)
┗アメリカ、メリーランド州ボルチモア生まれ。
 本名、フランク・ヴィンセント・ザッパ。
 ギタリスト、ヴォーカリスト、作詞家、作曲家・・等々
 “天才にして変態“の異名を持つ前衛ロックアーティスト。
 「ピーチズ・エン・レガリア」などが有名。

後の変態・・もとい、後の天才はシシリア人の両親のもとに生まれました。
虚弱体質であった幼き日の巨匠は、なぜか爆発物に多大なる興味をよせ、
わずか10歳足らずで火薬製造法をマスター。

のめり込んだらトコトン・・・の体質である巨匠の興味が、爆薬から
ドラムへと移行してくれたのは、音楽ファンのみならず全人類にとっての
幸福でありました。

オーケストラパーカッションの基礎を学んでいた頃、
ふと目に止まったのは、とあるアルバムに対しての記事でした。
“ドラムとサイレンの音しか入っていない最悪の音楽”

このコメントに惹かれた巨匠は、約一年かけて“最悪の音楽”を探し回り
ついに手に入れます。そしてもちろんのめり込み、以後このアーティストについての
情報収集に没頭しました。ある時は母親に頼んで自宅に電話までしています。
残念ながら留守であったようですが・・・。

「やっぱりドラムは向いてないかもしれない」
と思い直してギターに転向したのは高校生の時。
短大へ進学してからは声楽を学ぶかたわら、
クラブで演奏して日銭を稼ぎました。蝶ネクタイ姿で・・・。

そのうち知人の経営するスタジオに入り浸ってレコーディングに
精を出すようになり、アルバムデビューを果たします。

母の日に始動したバンド「マザーズ」
そのあまりの高度な技に世間をまごつかせつつ、翌年には絶対的自由な
演奏をコンセプトにしたセカンドアルバム「絶対的自由」を発表。
このアルバムのアイデアをビートルズがパクったから、さぁ大変。
世界中にサイケデリックブームが巻き起こります。

ビートルズがもたらしたのはドラッグにまみれたヒッピームーブメント。
ドラッグが大嫌いな巨匠は猛烈に怒りまくり、誰がどこからどう見ても
ビートルズのアルバムジャケットと瓜二つなアルバムを発表。
その名も「俺たちは金の為にやっている」

難解な音楽性はもとより、ロックの商品化とドラッグの危険性を
訴え続けた巨匠はこの頃から変態呼ばわりされることになります。

しかし世間の声などどこ吹く風。
技術を追求し、自己の音楽を追求しつづけた巨匠。

若手ミュージシャンに高い技術を要求する事で、結果的には多くの
有望なミュージシャンを育て、そして旅立たせました。
当然ながらメンバーにも一切のドラッグを禁止。
ハイになった頭では高度な演奏ができないため徹底的にドラッグを
排除したとの説もあります。

音楽の商品化を嫌い、晩年にはレコード会社に作品を委ねる事すら
拒否した巨匠。晩年には売上が落ちるのを承知の上で全ての作品を
自らの管理下におき、自らの手で販売しました。

文字通り孤立無援、孤高の天才の位置に君臨しつづけた巨匠は
52歳でその生涯を終えました。

2003.09.10 「まぐまぐ」より発行

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ホット・ラッツ(CD)
「ザッパはとっつきにくい」「どれを聴いていいのか分からん!」
と、お悩みのあなたにオススメの一枚。ジャズロックの名盤です。



■今日の余談─私の周りのダメ人間たち

└ダメ人間たるもの一度は憧れる(ことがあるかもしれない)刺青。
 “入れ墨”という文字通り、身体に墨を入れ込んでいくのである。
 経験を積んだ職人だけが織り成し得る伝統の技・・・と思いきや、
 素人にもできないことはないらしい。
 
 それを実証してくれたのが友人H。
 安全ピンを用いて己の肉体に傷をつけ、墨汁を流し込んでいく。
 それはひどく原始的な方法だった。

 上腕から背中にかけてライオンを描こうとしたH。
 腕はともかく、鏡を見ながら己の背中に絵を描くのは大変な
 作業である。無理かもしれないと察したHは友人知人に
 バトンタッチを頼んだが、
 「よし、我れがお前の肉体に墨汁を流し込もうぞ」
 という勇者はなかなかみつからない。

 結局は自分で完成させるしかなかったHのセルフ入れ墨。
 ホラー&スプラッタを好まない私は、傷が完全に癒えるのを
 待ってからその大作を見せてもらうことにした。

 Tシャツの袖からのぞく、絡み合ったライオンの足を見て
 「ほほぅ。たいしたもんだ。さすが絵心のある者は違う」
 と感心したのもつかの間。
 
 勢いよくTシャツを脱ぎ去ったHの背中にあったのは、
 まるで老いぼれが一筆書きで描いたようなライオンの頭。
 入れ墨というよりはむしろ落書きである。
 
 「これなら私が油性ペンで描いてあげてもよかったのに・・」
 喉元まで出かかった言葉をグッと飲み込み、
 私はそっとHの背中をさすった。


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