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マディ・ウォーターズ(1915〜1983)
┗アメリカ・ミシシッピ州生まれ。
 本名、マッキンリー・モーガンフィールド。
 ブルースの歴史を創ったと言われるブルースマン。
 「フーチークーチー・マン」「ローリング・ストーン」などが有名。

マディ・ウォーターズは泥水の意味。
毎日毎日近くの小川で遊んだり魚を捕まえたりしては
泥だらけで帰ってくる幼き巨匠を、母親代わりであった祖母が、
リトル・マディ・ボーイ、「小さな泥んこぼうや」と呼んでいたため、
このあだ名がつきました。

少年になった巨匠はすぐに綿花栽培に駆り出されます。
過酷な労働と貧困。医療も教育もなく、暴力と殺人があふれる日常・・・。
奴隷解放後とはいえ、辛辣な時代を生きた巨匠の唯一のなぐさめが
音楽であり、ブルースだったと言います。

そんな折、伝説のブルースマン、ロバート・ジョンソンを探す、一人の音楽研究家が
巨匠の前に現れました。彼は探し続けていた人物がすでに亡くなっている
ことを知ると非常に落胆しましたが、ロバート・ジョンソンとよく似た
泥臭いギターを弾く巨匠と出会うことができました。

ロバート・ジョンソンの代役として国会図書館用のレコーディングに挑み、
その経験からプロになることを決意した巨匠は、シカゴに渡り、そして
今度は自分の音楽でレコーディングをします。

マッチョな男っぷりを誇示した「フーチークーチー・マン」を始め
バカスカとヒットを飛ばしまくった巨匠。
エレキギターにドラムを用いた巨匠のバンドは、それまでのちんたらした
ブルースのイメージを一新させ、大衆の度肝を抜きました。
もちろん影響を受けたロックキッズは数知れず。
かのローリングストーンズも、そのグループ名は、巨匠の作品から
頂戴したものだそうです。

自宅にて心臓発作を起こすまで、どっぷりブルースに使っていた巨匠。
しかし、いくらヒットを飛ばそうが、いくら神だと崇められようが、
貧乏魂はなかなかぬぐえず・・・
ここは一つ、キース・リチャーズ(ローリング・ストーンズ)の
驚きの声で幕を閉じましょう。

「チェス・スタジオでレコーディングした時、マディ・ウォーターズに
 会えるってんで楽しみにしてたんだが、どこにもいやしない。
 ところがだ。なんと、オレたちが入っていったスタジオのペンキ塗りを
 してた男がマディ・ウォーターズだって言うんだ。信じられるか?
 オレたちが何曲もカヴァーして神様だと思っている男が
 白い作業着を着て、梯子のてっぺんに昇って、天井にペンキを
 塗ってるんだぜ!?」

2003.09.24 「まぐまぐ」より発行

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■今日の余談─私の周りのダメ人間たち

└学生時代からその後の数年、いろいろなアルバイトをしたが
 味噌の訪問販売。これは大変な仕事だった。

 味噌樽とともにワゴン車の中で揺られること数十分。
 到着先の住宅街が今日の仕事場である。
 
 路地裏を練り歩き一軒一軒「味噌はいかがですか」とやるのだが
 これまた非常に高い味噌なので売るほうも気が引ける。
 当然ながら世間の冷たい風にあおられっぱなしである。
 
 そんな中、とあるアパートの扉をたたくと、中から出てきたのは
 まるで孫でも迎えるかのごとく満面の笑みをうかべたおじいちゃん。
 「おぉ、おぉ、寒いのにご苦労様じゃなぁ」
 それまでの疲れがぶっとぶようなしわしわの笑顔である。
 
 「そうかそうか、信州の味噌か。ほぉほぉ。」
 ギクシャクしてぎこちない私の説明にも、いちいちうなずきながら
 耳を傾けてくれるおじいちゃん。そんなおじいちゃんの暖かい笑顔に
 癒されつつあった私は、だんだんと饒舌になっていき・・・
 
 最終的には“赤味噌、白味噌、樽ごとドーンと20kg!!”
 ・・・という、ものすごい量の味噌を売りつけてしまった。


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