偉人に学ぶ─ダメ人間の美学
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■チェット・ベイカー(1929〜1988)
┗トランッペッター。ヴォーカリスト。独特な歌声はJAZZ界に旋風を
 捲き起こしただけでなく、ボサ・ノヴァ唄法の原型になったとも言われる。
 「CHET BAKER SINGS」「CHET BAKER SINGS AND PLAYS」が有名。

「歌う気は・・・あるのでしょうか?」と、思わずツッコミたくなるほど、
ただ淡々とメロディを口ずさむ巨匠。

しかし、湿度が高くそれでいてクールに甘く浮遊するその歌声は他に類を見ず
常に「なぜ」という単語と共に評価されてきました。
誇れるようなテクニックを持たずして“なぜ”あれほど聴衆を魅了できるのか。
酒と女と麻薬に溺れる人物から湧き出る音楽が“なぜ”あれほど繊細に艶やかなのか。

そして最期の“なぜ”は1988年にやってきます。
チェット・ベイカー58歳。ドイツ、アムステルダムのホテルの窓から転落死。
彼の遺体はトランペットとともに 路上で発見されました。
そして主亡き後の部屋からは、大量のヘロインが押収されたようです。

自殺、他殺、事故・・・噂は噂を呼びましたが、巨匠が泊まっていたのは2階。
いくらなんでも、2階から飛び降り自殺っていうのは ちょっと・・・。

なんにせよ、破滅の人生を自ら選択し、そして全うした巨匠。
ドキュメンタリー映画「Let's Get Lost」完成直後の死でした。


甘┃い┃歌┃声┃を┃聴┃く┃
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チェット・ベイカー・シングス
チェットベイカーと言えばコレ!と言われる代表作。
ベスト オブ チェット・ベイカー
オイシイとこ取りの一枚。アメリカ産のコンピレーションアルバムです。



■今日の余談─私の周りのダメ人間達
└知人Mは、盲腸をいくつも持っている。
 そして何年かに一度の割合で、Mの盲腸たちは活発化する。

 夏の太陽をこよなく愛する男、M。
 しかし、Mの職場は夏場がもっとも忙しい上、Mには盆休みもない。
 忙しい・・・太陽が眩しい・・・遊びたい・・・忙しい・・・眩しい・・・休みたい・・・。
 そしてようやく忙殺スケジュールから開放される秋口、
 『盲腸になりました。一週間ほど休みます!』と、いうわけだ。
 ちなみに実の盲腸は「毛も生えないうちに」切り取ってあるらしい。

 Mの入院先には、人里離れた国内外の旅館やホテルが選ばれる。
 そこで何をするともなくただ眠り、起きて散歩をし、そしてまた眠る。
 二、三日で飽きてしまった場合は、『盲腸を薬で散らし、早めに復活』し、
 逆に、遊び足りない場合は『腹膜炎を併発し、入院が長引く』そうだ。

 職場の人間も出来たもので、見舞いを名乗り出る者は一人もない。
 そ知らぬふりで温かく、ただMの復活を待つのだ。
 それを知ってか知らずか、クサイ演技で痛々しく登場するM。

   そんなMは代表取締役。社長である。

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