常に「芸術かエロスか」との波紋を呼びつづけた巨匠。
しかし巨匠の筆が描き出す倒錯の世界は、とても「エロス」など
という薄っぺらな言葉では片付けられません。
倒錯も倒錯。私生活も倒錯。
それを象徴するのが「細君譲渡事件」。ことの発端は1921年です。
巨匠の妻である千代夫人は、巨匠にないがしろにされる日々の悩みを、
夫の親友でもある作家の佐藤春夫氏に打ち明けてきました。
そうこうするうち二人の仲は親密な関係へと発展。
それを知ってしまった夫はどうしたか。
あっさりサッパリ「そういうことなら細君を譲る」と約束しちゃいます。
ここまでは見ようによっては男っぷりもいいような・・・。
しかしギリギリの土壇場になって、やっぱりイヤだ!と、のたまう巨匠。
今まで妻をないがしろにして来たが、今は他の女に惚れているが(しかも妻の妹)
それでもやっぱり惜しいもんは惜しい!と駄々をこねまくる巨匠・・・。
約十年ものあいだ、あーでもないこーでもないと揉めていましたが、
結局は離婚という形でケリがつきました。
しかし懲りるということを知らぬ巨匠。その後の色恋沙汰にも事欠かず
そしてそれに比例するように、数々の名作を世に残したのでありました。
倒┃錯┃の┃世┃界┃に┃触┃れ┃る┃ ━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛ ── amazon.co.jp
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─ 刺青・秘密 ─ 小学生のSM(?)話や、女装癖の男の話が文学として描かれてます。 なんというか・・・“濃い”です。どっぷり濃厚です。 |
─ 谷崎潤一郎=渡辺千萬子 往復書簡 ─ こちらは私生活。義理の娘に充てて「あなたの靴に踏まれたい」と 書いちゃうあたり・・。も〜ぅ。すごいっす。 |