まず頭が良いです。東京大学法学部を卒業後、大蔵省に勤務。
このころには小説家としての名前もポツポツ出ていたため、お役人兼小説家と
して二足のワラジを履いて過ごしました。毎晩毎晩 小説を書き、そして出勤。
こんな毎日が9ヶ月ほど繰り返されたある日、あまりの眠さに耐え切れず
通勤途中に電車のホームから転倒しかけます。世界の三島、危うし!
・・と、当人が思ったかどうかは不明ですが、この一件で目が覚めたらしく、
めでたく小説家一本の道を歩むこととなりました。
生涯に渡って 同性を愛し、フンドシを愛し、わが身を最も愛した巨匠。
虚弱体質であるがゆえの華奢な体格を忌み嫌い恥じていましたが、三十路を
迎えた頃からボディビルに目覚め、モリモリと筋肉を付着させてゆきました。
その後はまるで、筋肉さえあれば怖いものはない!と、ばかりにヤクザ映画に
出演するわ、写真集で裸体を披露するわ、フンドシ一丁で雑誌に載っちゃうわ
「楯の会」なる右翼的思想の会を作っちゃうわ、挙句の果てには腹切って
死んじゃうわと実に大忙し。
これらのことが一部『三島=変態説』を生み出しているのは確かでしょう。
しかしこの異常なまでの自己演出はどこからくるのでしょうか。
十二歳になるまで家にこもる毎日を過ごし、徴兵検査を受けるも戦地には
向かえず、そのまま敗戦を迎えた巨匠。これら事実が 劣等感を増幅させて
いったことは間違いないようです。
そして1970年。それまでの劣等感を克服するかのように、大衆の前で堂々と
「最期の演説」をし、切腹を実演して見せた巨匠はナルシズムを満足させたのか、
全世界に衝撃を与えて旅立っていきました。
「私は詩人だと自分を考えるが、もしかすると私は詩そのものなのかもしれない」
2002.10.23 「まぐまぐ」より発行
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不道徳教育講座(文庫) 大いにウソをつくべし・友人を裏切るべし・教師を内心バカにするべし・約束は守るなかれ・・・ 昭和30年代に、週刊明星で連載されていたエッセイ集。 洒落と毒の利いた教えが満載。正しきダメ人間のためのバイブル(? |