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イングリット・バーグマン(1915〜1982)
┗スウェーデン、ストックホルム生まれ。
 女優。アカデミー主演女優賞はじめ、数々の賞を受賞。
 「カサブランカ」「ガス燈」「オリエント急行殺人事件」など主演作多数。

2歳で母親を、12歳の時には父親を亡くし、その半年後には
母代わりだった叔母まで亡くなるいう不幸に見舞われた巨匠。
その後、叔父の家に引き取られたものの、内気な性格のためか、
少女時代は孤独に過ごしました。

しかし女学校に上がって、演劇に興味を示してからはメキメキと活発になり
学校劇では出演と演出を努めるという活躍ぶりをみせます。
その後、本格的な演技を学ぶべく演劇学校に進学。そして映画デビュー。
2年間に出演した映画の数は11本。そのうち9本が主演と順調なスタートを切りました
さらに、ハリウッドの名プロデューサーがこれらの中の一本に目をつけ、
再映画化のため、主演女優である巨匠もろともハリウッドに招いたのです。

この時すでに内気な少女から意志をもつ一女優として開眼していた巨匠。
ハリウッドデビューと同時に芸名を名乗るようにと、指示を受けましたが、
これを断固として拒否。嫌なものは絶対イヤ!ってなもんです。
結局スウェーデン読みである"ベルイマン"を"バーグマン"と読ませるに
とどまりました。

映画を一本撮ったからといって、次の仕事の保障が与えられるわけもなく、
来る日も来る日もレッスンばかり・・・。
そんな毎日に業を煮やした巨匠は、自らの足を用いて役の獲得に乗り出します。

ほぼ決定していた配役を、女優のスケジュール調整でもたついている
すきをついて直談判。この交渉により見事主役を勝ち取ったのが、
かの名作「カサブランカ」です。

この映画の大ヒットにより、名実ともにハリウッドスターの座についた
巨匠でしたが、これで手をぬくタマじゃありません。
「誰がために鐘は鳴る」では、髪の毛をバッサリ切って原作者の
もとへと交渉に向かいました。

常に前へ。もっと前へ・・・!撮影中、神経質とも思えるほどに
演技論をぶつけてくる巨匠をたしなめるため、ヒッチコックはこう言ったそうです。
「イングリット、たかが映画じゃないか」

ただのスターではなく、演技派の女優になりたい。
“思い立ったらすぐ行動”のお手本のような巨匠は
早速イタリアの映画監督ロッセリーニに手紙を書きました。

「もし英語のうまいスウェーデン生まれの女優が必要なら
 いつでも一緒に映画を作る準備があります」

こちらに来いという返事をもらうや否や、夫と子供を捨てて
監督のもとへ飛び立ってしまった巨匠。この行動は大変な
スキャンダルとなり、ハリウッド映画界から追放されてしまいます。

しばらくは出演作も不評続きで破産状態になりますが、
「追想」でハリウッドに復活し、再び女王の座に君臨。

その後67歳の誕生日に癌でこの世を去るまで、休むことなく
走りつづけた巨匠の墓石には、生前からの願いにより、
「生の最期まで演技を続けた」と記されました。

2003.08.06 「まぐまぐ」より発行

あ┃の┃名┃台┃詞┃ 
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「君の瞳に乾杯!」の名ゼリフ発祥の映画でございます。



■今日の余談─私の周りのダメ人間たち

└花火大会、盆踊り。夏といえば祭りである。祭りといえば屋台である。
 夏の屋台で金魚を手に入れた親戚の子供Aは小学校一年生。

 Aにとっては初めてのペットである。どんぶりに金魚を放ち、
 寝ても覚めても飽きずに眺めていたが、水の中でも空気が必要で
 あることを知ると、すぐさま両親を泣き落としにかかった。

 大は小を兼ねるという信念を持つ両親の計らいにより、金魚一匹の
 住まいとは到底信じがたいような立派な水槽がA宅にお目見えする
 運びとなった。

 広い場所で育った金魚というのは想像を絶するほど大きくなる。
 一年後にA宅の水槽をのぞくと、まるで“ふな”のような“元金魚”が
 悠々と泳いでいた。

 金魚の姿は変わったがAの“元金魚”に対する愛情は変わらなかった。
 “スミス君”と名前をつけ、朝に夕にと話しかけて過ごしたが、
 ある日の朝、ポッカリと水面に浮かぶスミス君を発見してしまう。
 しかも死因はAが餌を与えすぎたことだったらしい。

 悲しみにくれるAの様子を聞き、A宅を訪れるとAは不在だったが、
 庭には小さな盛り土があった。
 「ほほぅ。これがスミス君の墓だな・・・」
 と思い目をやると、墓標に見立てられたアイスの棒にはただ一言、
 [ごめんなさい] と、記されていた。


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