言わずと知れた“世界のクロサワ”
代表作「七人の侍」がハリウッドの西部劇『荒野の七人』に。
「用心棒」がイタリアで『荒野の用心棒』になったというのも有名なお話。
かの『スターウォーズ』も、「隠し峠の三悪人」が下敷きになっていると
言われています。
自他ともに認める映画バカである巨匠の幼少時代は天才児かと思いきや・・
小学校2年生頃までは級友ばかりでなく、先生にまで精博児の扱いを
受ける始末。しかしそんなある日、皆の前で先生に絵を誉められた巨匠は
それをきっかけにぐんぐん自信をつけ、一年後には級長を務めるほどに急成長。
まさにナントカと天才は紙一重ってやつですね。
一時は画家の道を目指したほどの頑張りようでしたが、そちらは断念。
映画の世界に入ります。完全主義と言われた巨匠は新しい試みの開拓者でも
ありました。今でこそ珍しくもない斬殺音。時代劇でおなじみの人を斬る
「ザシュッ」という音ですね。よりリアルな音を求め、肉屋の肉がなくなる
ほど大量の肉を切り続け研究したそうです。
予算も日程も底知らず。
製作会社泣かせの巨匠にとって こんなことは序の口なんです。
ある日のシベリア。零下45℃のその場所でスタッフが用意したトラを
見るやいなや一言。「目が死んでいる。野生のトラが必要だぁ〜」
この言葉を受け、本当に野生のトラを捕まえてきちゃうスタッフもお見事。
またある日のこと。東海道線から現金を投げ落とすシーンで、どうしても
民家が映ってしまうのが気に入らなかった巨匠。カメラの位置を変える
のではなく、民家二棟の方を移動させちゃいました。
こんな話を数え上げたらキリがありません。
挙句の果てには「その落ち方はチガァーーーーッウ!!」と消え入る夕日に
向かって怒鳴り散らした事もあったそうな・・・。
プライベートの酒の席でも、九割方は映画の話ばかりだったという巨匠。
映画を撮れない状況に陥った時期には己の手首や首を切り散らかして自殺を
図った事もありました。
どんなに傑作だと褒め称えられても、栄誉ある賞をもらっても満足することの
なかった巨匠。常に上を求める姿勢を崩さなかった巨匠は「まぁだだよ」を
最期に永遠の眠りにつきました。
「一番気に入っている作品は?ってことになったら、
次の作品ですって言うほかに、しょうがないんだよ」
2002.12.25 「まぐまぐ」より発行
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